tabla percussion
yusuke mazda
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自己紹介
2005年に脱サラ、楽器とともに音楽放浪の旅へ出発。
数年を過ごしたオーストラリア、ニュージーランドでは車に機材を載せて木管楽器ディジュリドゥやアフリカの打楽器ジャンベで民族楽器の路上パフォーマンスをしながら旅を続ける。
旅の途中、農家のバイトやサーフィン、地元ヒッピー達とのバンド活動、森林保護活動、原住民コミュニティ訪問、野外フェスRainbowSerpent、Luminate festival、Glitch festなど様々なイベントで演奏。地元新聞やラジオ、CATVに出演。
2009年、皆既日食を観測しに訪れたインドでインド古典音楽と打楽器タブラに出会う。バラナシ流派のPt.マニクラ・ミシュラ氏、ジャイデブ・ムッカルジ氏にタブラの奏法とインド古典ヒンドゥウターニ音楽の理論を師事。以後、師の元へ通い教えを深める。2019年の渡印で現地コンサートでソロ出演。
旅の途中ヒマラヤ山脈のマナスル山麓に位置する音楽家一族ガンダルヴァたちの村に滞在し、電気や水道もなく自給自足を営む素朴な村で稲刈りや家畜の世話を手伝い実生活からヒンドゥ讃美歌のキルタンやバジャン、伝統民謡ドゥンの伴奏を修練。
ライブハウス、野外フェス、まつりやマルシェ、寺社仏閣、カフェレストランなどで演奏し、民族楽器ユニットや様々なジャンルのアーティストとのコラボも積極的におこなう。これまで国内各地にくわえオーストラリア、ニュージーランド、トルコ、インド、タイなどで演奏活動をおこなう。
自己追及と真理探究をライフワークにタブラの魅力を広めるためにボーダレスに活動中。大阪ひらかた市在住。
好きなカレーの具はジャガイモとカリフラワー。
インド古典音楽について
インド古典音楽はメロディや旋律を旨とする「ラーガ」とリズム理論の「ターラ」から成り立っています。非常に即興性の強い音楽で インドの宗教や宇宙観、文化や生活環境と密接な関係を持ち 世界の多様な音楽のなかでも類を見ない独特な様式で構成されています。
3000年以上前に編纂されたといわれる古代インドのバラモン教の聖典のひとつサマ・ヴェーダにラーガとターラの記述があることから 仏教の開祖釈尊ゴータマ・シッダルタの時代からすでにその音楽様式は確立されていました。
ヒンドゥー教の核となるウパニシャッド哲学の盛隆と広域にわたる伝搬、また西方ペルシャ地方からのムスリム文化の影響も色濃く受けながら その演奏技術や理論体系は変容を続け いつしか膨大な学問となりました。使用される用語も古代インドのサンスクリット語、パーリ語、ウルドゥ語と多岐にわたります。古代から変わらぬものはその独特な伝承法で 西洋音楽のように楽譜を用いず グルと呼ばれる師から弟子たちへ 口伝でもって伝えられます。なかには長い歴史の中で伝承者不足で失われてしまった奏法や楽器、 あまりに強力で危険なために意図的に封印されてしまったラーガもあります。また逆に 近年に新しく創造されたものもあり 伝統的な古典芸能ではあるものの各時代の奏者たちによってアップデートを繰り返しながら今もなお新しい表現方法が更新され続けています。
インド古典音楽の全体のテーマとしては 輪廻転生からの解脱(モクシャ)を表現しているといわれ、ニルヴァーナに達するための導線や手段としての側面から「音のヨーガ」とも称されます。そのため現地では演奏は主に僧侶階級であるブラーミンが担い、寺院での演奏会も頻繁におこなわれています。
演奏はまず「アーラープ」と呼ばれるメロディ(ラーガ)奏者の独奏からはじまります。宇宙空間を漂うような無拍子のなかで非常にゆっくりしたムードから一音一音が丁寧に紡がれていき、ラーガの輪郭が徐々に姿を現します。主奏者によってラーガの物語がひとしきり奏でられると 次はガットと呼ばれる合奏パートからリズム(ターラ)が刻まれます。ビランビット(低速)からはじまり、マディヤ(中速)、ドゥルット(高速)へ、演奏者たちはラーガとターラの原則の中で 降りてくるその場限りの即興表現をおこない、楽曲はスピードを増しながら展開していきます。やがて人の力の限界にまで近づき、臨界を迎えた楽曲はカタルシスを迎えます。
即興表現ではあるものの 守るべきルールがあるため 初見の奏者同士でも楽曲が成り立つのがインド古典音楽の特徴のひとつでもあり 大きな見どころでもあります。現地コンサートでは演奏者が素晴らしい演奏をした際には 客席から「キャバテ」という声が飛び出します。ヒンディ語で、なんてこった!すごい!といった意味の言葉ですが これを読んでくれているあなたがインド古典音楽の演奏会で素晴らしい演奏を見た際には ぜひ「キャバテ!」と言ってあげてください♡